ペレポストで多様な植物を栽培して解ったことがある。
植物の中には非常に「腐植」「腐植酸」(フミン酸)を好むものがあるということである。
こういう植物は、ペレポストの新しいもので植えると、約一年くらい調子がイマイチという生育になるが、
木材腐朽菌の分解が進み熟成してくると・・・素晴らしい生育をするようになる。

山野草栽培では、このことが非常に重要なことである。
山野草の中で雑木林の林床に自生しているものに、この腐植を好むものが多い。
これまで、こういう植物には「腐葉土」をミックスして栽培してきたが、
畜産の排泄物の嫌気性細菌による「腐敗」により作られたものでは、
病害菌が優占菌となり「株腐れ」「根腐れ」が起こりやすい。

こういう「腐植」「腐植酸」を好む植物は、逆に清潔な地表に自生している。
木材腐朽菌が枯れ落ち葉を分解して作った表土に根を伸ばしている。
木材腐朽菌との共生と、木材腐朽菌が行なう老廃物の分解による浄化された表土である。
腐植、腐植酸を好む植物の多くは多年草に見られる。
右写真で、一例を示す。

これらの植物の根は共通した特徴があり、地表近くに微細な根を伸ばしている。
更に草本植物では「離層」を無くした植物が多い。
この「離層」を無くした理由は、自身の枯れ落ち葉から木材腐朽菌によって「腐植」「腐植酸」が、
必ず・・・わずかながら作られることである。
更に、株の周囲に木材腐朽菌が生息することによって、病害菌のエリア内への侵入、生息、繁殖阻止できる。
これらの植物は・・・群生することが多い。
1株での「腐植酸」の生産量は非常に少なくとも、群生して毎年継続すれば・・・
生息地の土壌を・・・自身が好む条件に改良することが出来る。
当然・・・PHも。
腐植、腐植酸を好む植物の殆どは、枯れ葉を木材腐朽菌が分解し、降雨にって作られた土壌は、
岩盤の組成に影響されることなくphは約6.0から6,5前後である。

木本植物では「ブッシュの樹形」になる植物に多く見られる。
バラ、ブルーベリー、ヤマブキ、千両、万両、・・・・・アカモノ・・・アジサイ・・・。



近年、有機農法で「腐植」「腐植酸」を再発見しているので、
腐植の歴史を列挙する。


   1731年  イギリスの農学者 トウル   土粒栄養説を唱える
             植物の根が土の粒を・・・動物のように食べて栄養にして育っているというもの。

   1761年  スエーデンの化学者 ワーレス  腐植栄養説を唱える。
             ここから、植物と腐植関係が始まり・・・現在まで続いている。
             250年前の理論である。
   1804年 スイスの化学者 ド・ソシュールによって光合成が発見された。
   1809年から1812年
          ドイツの化学者テーア   合理的農業の基礎  全4巻の本を発表。f
          植物は腐植の中にふくまれる炭素、水素、酸素、窒素で育つ。        
          テーアはワーレスが唱えた「腐植栄養説」を支持し「有機栽培」を構築した。
          現在「有機栽培の父」と言われている。
          最近、テーアの本が「新 合理的農業の基礎」として、日本で翻訳され、
          再発行されている。
          現在の日本における「有機農法」の原点の本である。
          200年前の理論で・・・日本の有機農法が構築されているということである。
          

   1826から1826年
         ドイツの化学者シュプレンゲル 無機栄養説、最少律を唱える。
        日本の農学では、「無機栄養説」「最少律」はリービッヒが唱えたようになっているが、
        最も早く唱えたのはシュプレンゲルである。
   1845年 ドイツの化学者 リービッヒが「無機栄養説」「最少律」を発表。
        現在の論文研究では、リービッヒが「無機栄養説」「最少律」の普及者。
        著名なリービッヒが唱えたことで、この学説の普及が速くなった・・・。

   1877年 イギリスの農学者 ロバート ウエリントン 
         「無機栄養説」を実証。

        土壌に堆肥などの有機物を投入しても、微生物の分解によって最後は「無機」となって
        植物から吸収される。

        これによって「テーア」の「腐植栄養説」は否定され、これ以降衰退して行く。
        化学肥料栽培が・・・作物栽培の基本になっている。
        
        日本の作物栽培で化学肥料(金肥)・・・が使われ出したのは戦後である。
        戦前の農業は・・・ほとんど「有機質肥料」の落ち葉、魚かす、油粕、米ぬか人糞尿、家畜の排泄物・・
        


  

         
       〇  以上のように植物の学術的な提唱があり、現在の植物栽培になっているが、
           1800年代の学説で、現在も作物、植物栽培が行なわれている。
           現在市販されいる園芸関係の肥料、資材のほとんどは、この時代の理論に基づいて、
           開発されていいる。

           「腐植」「腐植酸」は・・・新しいようで・・・古い。
           

   テーアもリービッヒも「微生物」としているが、この時代は、「好気性菌」「嫌気性菌」「細菌」「糸状菌」「放線菌」
   などの詳しいことは未知の時代で、40年後の1880代細菌、嫌気性菌はパシツールまで、コッホの研究である。


     1853年 イギリスの化学者 ドミニーによって「ランの親鉢播種法」開発。
     1853年 日本に「黒船」が来る。  


   



 大自然の地表にある「腐植」は、どのようにして作られるか・・・
 それを作るのは「木材腐朽菌」である。
 木材腐朽菌は枯れ葉、植物死骸の「リグニン」「セルロース」を分解できる唯一の微生物。
 枯れ葉が木材腐朽菌によって分解された状態がある土壌に適応した根を持つように進化した植物が、
 前記したように、森林の林床に自生している草本植物に多い。


 ペレポストを木材腐朽菌が分解すると、森林の林床にあるような純正な「腐植質」「腐植酸」が生まれる。
 例えば、ペレポストでランを栽培して2年後に植え替えたとき出来る・・・燃え尽きたペレポスト。
 これは「腐植質」の粒子と言ってもいい。
 これを、用土にミックスして、前記の植物を栽培すると、素晴らしい生育をする。

   リービッヒの「無機栽培」「植物必須元素による栽培」は・・・人間で言えば・・・
   唯、生きているだけの「植物人間」を生かすために必要な元素である。
   これだけあれば植物は作れるが・・・・喜んで生きられるか・・・・????
   泣き泣き生きていても・・・人間の科学は・・・それを「生きられる」「生きている」とする。
   現在、腐植質、腐植酸が・・・再発見されているのは、植物が「喜んで」生きている・・・・
   ということである。


 腐植質で喜ぶ・・・こういう植物をペレポストで栽培する場合は

   〇  半年、一年前から「熟成」させておいたものと、赤玉、軽石などをミックスしたもので栽培する。
       こういう植物は殆ど「木材腐朽菌」と共生している。


 植物栽培の「最少律」の項目の中に
    「木材腐朽菌」「腐植質」「ケイ酸」などを植物必須元素に加える必要がある。
    
 有機の農法の「最少律」には「木材腐朽菌」が含まれていない。
 このことは「致命的な欠陥」である。
 地球の植物死骸、枯れ葉の分解について、大きな誤りを冒している。
 「リグニン」の分解。
 これを分解できる菌は、白色木材腐朽菌が唯一の菌である。

 地球の枯れ葉堆積の表層には、ほとんど木材腐朽菌が優占菌となり、他の微生物は生息しない。
 出来ない・・・・木材腐朽菌の抗菌作用で。
 枯れ葉が地表に落ちて最初に始まるの工程が、木材腐朽菌によるリグニン、セルロースの分解・・・
 「朽ちる」ことである。
 何年も堆積する枯れ落ち葉層では、土壌と接するエリアには「放線菌」が生息する。
 この菌は「絶対好気性細菌」である。
 同じ好気性菌の糸状菌である木材腐朽菌が、リグニンを分解して脆弱かした組織のセルロースをエサにしている。
 「放線菌」は「抗生物質」を生産する菌が多いが、これは、必死になって生息エリアを囲うためである。

 日本再生循環緑化研究所 宇井 清太が発見した「木材腐朽菌」は、
 「放線菌」の抗菌作用を無効にして、放線菌の細胞壁のセルロースを食べてしまう。
 グラム陽性細菌の「細胞壁」はセルロースから出来ているから、
 セルロースを分解できる木材腐朽菌が優占菌として支配しているエリアでは、
  「放線菌」は生息、繁殖が難しい・・・。

 腐植質、フミン酸は泥炭から製造されているものもあるが、
 最も良質なものはペレポストを木材腐朽菌が分解して生まれたものである。
 そういう理由で、トマト、ピーマン、ナス・・・キュウリ、メロン、スイカなどは、
 熟成したペレポストを用土にミックスすると・・・木材腐朽菌と腐植質で素晴らしい生育になる。
 木材腐朽菌が「連作障害物質」を分解して、土壌を浄化する。
 ブナ林の林床のような大地の力を持った地表になる。

 これまで、有機農法では木材腐朽菌を使わないから「地力」は作れても「大地力」は作れなかった。
 畜産排泄物、堆肥では・・・エネルギーを持った「大地力」は作れない。
 枯れ葉には1kg約4000キロカロリーが含有している。
 これを木材腐朽菌が静かに燃やした・・・朽ちらした後に残るのが「腐植質」である。
 堆肥から生まれる「腐植質」とは・・・関わった菌が異なる。

 腐葉土入れると・・・フクジュソウ、クリスマスローズ・・・・キンポーゲ科植物は、
 調子が悪いのは・・・菌種が異なるからである。
 林床の支配者は・・・「木材腐朽菌」である!




      
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木材腐朽菌が腐植、腐植酸を作る             これが植物を育んできた

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